公開質問状への回答に対して

公開質問状への回答に対して

事務局長・小川榮太郎より、年頭のご挨拶と共に、公開質問状への夫々の回答に対する所感を述べました。

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公開質問状に対する回答

平成 27 年 12 月 22 日、夫々より下記の通りご回答頂いたことをご報告致します。

岸井氏回答
岸井氏からは、結局無回答となりましたが、その経緯は以下の通りでした。

 

12 月 4 日
公開質問状の返答期限であり、TBS からの回答は既に到着していた為、18 時頃、当会事務局より TBS に回答の確認電話を入れ、同社総務局総務部木村氏と次のやり取りがありました。

木村氏からは、岸井氏が返答しない旨のお答えがありました。
当会は文書で質問状を出しているので、内容についての返答をしない旨の回答は文書で頂きたいと伝えました。
また、その決定は、岸井氏個人の見解か、局としての態度かの返答も併せて求めました。

木村氏からは、岸井氏に確認するとの回答を得ました。

 

12 月 7 日
午前、当会事務局より、木村氏に改めて電話連絡したところ、局としてどう対応するかを検討する旨の回答を得ました。
夕方、関係者が多く調整がなかなか進まない、遅くとも一両日中に返事するとの電話連絡が入りました。

12 月 8 日
木村氏より最終回答として、下記の 3 点を承りました。

岸井氏は回答しないことに決めた。
TBS も局として無回答を承知した。

岸井氏、TBS ともに、岸井氏への公開質問状に関しては一切のペーパーを出さないと決定した。

 

視聴者の会のコメント

甚だ残念であります。岸井氏は放送局に属するニュースアナウンサーではなく、そもそもが毎日新聞の主筆まで務めた、現代を代表する「言論人」です。言論人とは、ついには、一個の個人の言葉の力のみに依って立つべきであり、その意味で、無回答という回答さえも TBS に代行させたのは、自ら、言論人の矜持を根底から放棄したに等しいと言えるのではないでしょうか。

また、氏は、今日まで、政治家など他者に対して、極めて厳しい要求を突き付け続けてきた「実績」をお持ちです。自らが社会的な批判にさらされた時には、自分が過去、他者に要求してきた所に顧み、恥ずかしくない言動を取られるべきではなかったでしょうか。

当会は、社からの回答はなくとも、個人としての資格による岸井氏の回答はあるだろうと期待していました。TBS に「無回答という回答」を代行させた氏に対して、強い失望を禁じ得ません。

株式会社TBS からの回答
TBS 回答

 

拝啓 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
早速ですが、11 月 26 日付けの貴信にてご照会のありました件につきまして、下記のとおりご回答申し上げます。

敬具

報道・情報番組において、経験豊富なキャスターやアンカーがニュースに対して解説、論評をすることは、これまでも広く受け入れられていると認識しています。
私どもは公平・公正な番組作りを行っており、今後もその様につとめて参ります。

以上

視聴者の会コメント

甚だ残念であります。当会は 3 点についての社の見解を伺いましたが、一つとして正面から回答されていません。第一に、岸井氏のアンカーとしての発言が社論か否かについて、また、社として今後この発言の方針での報道を取り続けるのか否かについて、言及を全く避けています。さらに、放送法についての社の今後の対応に関しても全く言及がなされていません。

当会は、キャスター、アンカーのニュースに対する解説、論評そのものを批判しているのではありません。岸井氏の発言は、同番組における一方的な賛否バランスの中で、解説、論評の域を遥かに超えた、政治運動の示唆である故に問題にしたのです。

更に、あろうことか、同番組の賛否時間比較表を付したにも関わらず、TBS は「公平・公正な番組作りを行って」いると回答しています。

これは、回答の根拠が主観にしかないということを意味します。

このような不誠実な回答により、TBS は、当会「呼びかけ人」の問いかけを無視したのではなく、当会が代弁している無数の視聴者の声を完全に愚弄したのであります。

視聴者を愚弄する放送事業者に、放送免許を自由に扱う資格はないのではないでしょうか。当会は、放送法の規定強化、総務省による監督強化などを訴えたことはなく、放送事業者による自主的な放送法 4 条遵守を求めてきました。それだけに、放送事業者の資格そのものに疑念を覚えざるを得ないような、余りに無慚、不誠実な TBS 回答は、甚だ遺憾であります。

高市早苗総務大臣からの回答
総務大臣回答

 

平成 27 年 11 月 27 日に、貴会より公開質問状をいただきました。

放送法第 4 条第 1 項第 2 号の「政治的に公平であること」について、総務省としては、これまで、政治的な問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、不偏不党の立場から、特定の政治的見解に偏ることなく、番組全体としてバランスのとれたものでなければならないとしてきたところであり、基本的には、一つの番組というよりは、放送事業者の番組全体を見て判断する必要があるという考え方を示して参りました。

他方、一つの番組のみでも、例えば、選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合、国論を二分するような政治課題について、放送事業者が、一方の政治的見解を取り上げず、殊更に、他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合といった極端な場合においては、一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められないと考えております。

以上は、私が国会答弁でも申し上げていることであります。

今般の質問状のご趣旨としましては、政治的公平に関する総務省の考え方について、分かりにくいのではないかということかと存じますが、現在、総務省に「放送を巡る諸課題に関する検討会」を設置しており、本件についても議論の対象となる課題から排除されるものではないと考えております。一方、表現の自由等との関係から大変難しい課題でもあり、現時点で総務大臣としての見解を即答申し上げることが困難であることも、ご承知ください。

以上、よろしくお願い申し上げます。

視聴者の会コメント

長文且つ誠実な回答を総務大臣から頂いたことに感謝申し上げます。

政治的公平については、「表現の自由等との関係から大変難しい問題」とし、「総務大臣としての見解を即答」できないとしながらも、総務省の見解として以下を提示してくださったことは、国民の「知る権利」を守る上で、重要な指針になると考えます。

1、政治的公平については、基本的には放送事業者の番組全体をみて判断する。

しかし、一つの番組でも

2、選挙中または近接期間に特定の候補者のみを取り上げるなどは政治的公平とみなせない。

3、国論を二分するような政治課題について、一方の政治的見解のみを長時間繰り返す放送をするなど極端な場合も、政治的公平を確保しているとは認められない。

という趣旨のご回答と理解しました。

そうしますと、総務省見解によれば、今回の岸井氏の個別の発言よりも、私どもが調査した安保法制可決前後の放送番組時間比較における極端な賛否バランスが上記 3 に該当し、政治的公平を確保していないと判断できることになります。

当会は、その観点から、放送事業者による主要報道番組の「政治的公平」の確保の為、今後、視聴者の観点から監視するシステムを構築すべく、準備中です。

それ以外にも、現在様々な形で放送法4条遵守への運動を進めており、年明け 1 月中旬までに、当会の活動は第二ステップに入る予定です。その時期に改めて記者会見で御報告申し上げる所存です。

それにつけても、本来、韜晦(とうかい)を事とするはずの行政の責任者が、あえて丁寧かつ誠実な回答につとめておられる一方で、言論人である岸井氏、放送事業者である TBS が誠意ある回答から逃げているということに、倒錯を感じます。この国の民間の言論は、自己責任能力や倫理感において、根深く病んでいるのではないでしょうか。

当会は今後もそのような現状に怯むことなく、地上波テレビ局の報道姿勢の公正化を促し、自由闊達な議論が随所で戦わされることによって、真に国民自身の合意が形成されてゆく、健全な民主主義の実現を目指す所存です。