上昌広氏・岡田晴恵氏・大谷義夫氏の発言による社会の混乱について

【1】はじめに

新型コロナウィルスに関して、様々なニュースが連日飛び交っている。ワイドショーなども例外ではなく、毎日のように専門家が登場し、様々な意見を述べている。上昌広氏、岡田晴恵氏、大谷義夫氏の3名は専門家として、2月から3月にかけてテレビ出演が多い。ところが、3名に共通している特徴として、発言がいいかげんなことがあったり、結果として誤りであったりする発言が多いことが挙げられる。そこで今回は3名が過去にテレビやSNSで発信した内容で社会の混乱を招きかねない事例をいくつか挙げていく。

 

【2】新型コロナウィルスに関する主なニュースの時系列

2019年12月 中国・湖北省の武漢市で41名が後の新型コロナウィルスとなる肺炎を発症
2020年1月16日 日本で初の新型コロナウィルスの感染者を確認
2月3日 クルーズ船ダイヤモンドプリンセスが横浜港に到着
2月13日 日本で初の新型コロナウィルスによる死亡者を確認
2月28日 全国の小中高へ臨時休校を要請
3月11日 世界保健機構(WHO)がパンデミックを宣言
3月21日 日本国内感染者数が累計1000を超える(クルーズ船除く)
3月24日 東京オリンピック延期が決定
3月27日 日本国内で新型コロナウィルスの感染者が初めて1日100名を超える

 

【3】上昌広氏の発言について

①人物紹介

1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床や研究に従事。2005年東京大学医科学研究所で探索医療ヒューマンネットワークシステム(現 先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰。2016年より特定非営利活動法人の医療ガバナンス研究所の理事長。

 

②問題だと思われる主な発言と問題点

  • クルーズ船の対応についてイタリアは適切であった。

2/20(火)<上氏のTwitter>

  • 知人の政府関係者より。政府が検査をしすぎたから、イタリアが感染拡大したような印象操作デマを吹聴している。

3/12(木)<上氏のTwitter>

  • 風邪の症状がある人にはPCR検査をほとんどやらずに95%断っている。この95%という数字は国会で蓮舫議員が提出移出したもの。

3/17(火)<ミヤネ屋(日本テレビ) >

  • (イタリアは医療崩壊しているが、日本はPCR検査を増やしたら医療崩壊は起きないのかと質問されたことに対して)

医療崩壊は起きるかもしれない。なぜなら病院に来ると感染するかもしれないからということで病院の患者が激減しているからである。このままだと倒産する病院が出てきてしまうと本当に大変になる。

3/17(火)<ミヤネ屋(日本テレビ) >

 

上記点から、課題点が3点挙げられる。

(1)(2)

3/31(火)時点でイタリアの新型コロナウィルスによる感染者は10万人を超え、死亡者は1万人を超えている。医療従事者の感染も広がっており、すでに50名以上の医師が死亡している。結果としてイタリアは世界有数の感染国となっており、上氏の発言は不適切であった

 

(3)感染症の専門という立場で呼ばれているのに、国会に提出されているとはいえ、感染症には素人の議員の資料を鵜呑みにしている

 

(4)上氏はそもそもPCR検査を増やしたことに対する医療崩壊についての回答をしていない。風邪の症状が見られるならどんどんPCR検査を行うべきと主張している上氏にとって、PCR検査を増やすことの問題点は意図的に避けているようにとれる。

 

以上より、イタリアへの称賛は結果として誤りであったことから、専門家としての知見が誤っていること、またPCR検査の拡充を訴えるが、根拠となるデータが他人任せの部分があり、PCR検査の拡充による問題点の指摘にも的外れな回答をしていることから、テレビ番組で専門家として発言する立場としては不適任であるといえる。。

 

【4】岡田晴恵氏の発言について

①人物紹介

共立薬科大学(現 慶応義塾大学薬学部)大学院薬学研究科修士課程修了。順天堂大学大学院医学研究科後期中退 医学博士。厚生労働省国立感染症研究所ウイルス第三部研究員や日本経済団体連合会21世紀政策研究所シニア・ アソシエイトなどを経て、現在、白鷗大学教育学部教授。専門は感染症学や公衆衛生学。

 

②問題だと思われる主な発言と問題点

  • 日本の中で一足先に緊急事態宣言を出した北海道が、直近2週間の外出自粛要請から、来る次週の3連休時に外出自粛要請を出さなかったことについて、良い判断。社会とのバランスを取るうえでは大事なこと、と発言。
    3/19(木)<モーニングショー(テレビ朝日)>
  •  しかし、3/26(木)の同番組にて、感染者数については2週間前のデータであることを根拠として、実際の感染者数(無症状の方や検査を受けていない人を含めて)を10倍近く見積もる必要がある。
    検査結果の発表期間が短い方がいいとして、検査結果が出るまでのタイムラグを認識し、課題として挙げている。

 

上記2点から、状況によって2通りの問題点が考えられる。

【(1)段階で2週間のタイムラグを認識していなかった場合】

外出自粛要請の解除に対して、感染症の観点から問題がない旨の根拠がない状態で専門家として発言を行っている。

大多数の消費者に触れるメディアの中で、まだ日本国内で対策の是非が分かりかねる中、北海道の対応に課題はなかったのか、消費者へ伝える役割を果たしていない。
【(1)段階で2週間のタイムラグを認識していた場合】

北海道は外出自粛の効果があることが表出し始めた段階であり、確かな効果があると確定できた段階ではなかった。

その中で自粛解除について賛同しており、自ら指摘している【2週間の検査結果のタイムラグ】の問題点を解消しておらず
少なくとももう1週間で感染者数が再出現しないか、問題提起を行う必要があった。

 

以上から、多くの消費者に触れるテレビ番組での発言として不適切であることがうかがえる。

 

【5】大谷義夫氏の発言について

①人物紹介

1989年群馬大学卒、東京医科歯科大学第一内科研修医、国家公務員共済組合連合会九段坂病院、国立がんセンター肺内科で研修を経て、1998年東京医科歯科大学第一内科助手に就任。その後、東京医科歯科大学呼吸器内科助手となる。2001年東京医科歯科大学呼吸器内科病棟医長、2003年国家公務員共済組合連合会九段坂病院内科医長を経て、2005年東京医科歯科大学呼吸器内科医局長に就任する。2008年米国ミシガン大学に留学。2009年東京医科歯科大学呼吸器内科兼任睡眠制御学講座准教授に就任し、2009年池袋大谷クリニックを開院。

 

②問題だと思われる主な発言と問題点

  • PCR検査について総理大臣主導で早期から検査をしていき、早い段階からの検査態勢を拡充すべき

2/27(木)<モーニングショー(テレビ朝日)>

 

  • ぜんそく治療薬「シクレソニド」の投与により、新型コロナウイルス症状の改善が3例見られた。希望がもてる。

3/4(水)<モーニングショー(テレビ朝日)>

 

上記点から、課題点が2点挙げられる。

  • PCR検査の拡充で感染者数増による医療崩壊を起こしたイタリアと同様に、感染者の数を増やす方向に賛同している。
    この発言を行う場合、ベッド床数不足の問題、感染者が増えた場合の医療現場のキャパシティ不足に対する課題や対策を提唱する必要があるが、その役割を果たしていない。医療崩壊を助長していると考えられてもおかしくない。
  • 「シグレソニド」の効果が仮にあったとしても、テレビ番組で発言をすることで、消費者が薬を求めて殺到する可能性が考えられる。その結果、本来薬が必要なぜんそく患者が入手困難な状況になりかねず、薬によって救えるはずの命が失われる可能性があるが、その点への考慮が及んでない。

 

以上より、行政の対応に関する専門家としての知見が誤っていること、また消費者の行動を誤った方向に促す危険性のある発言をしており、テレビ番組での発言としては不適切な様子がうかがえる。

 

【6】おわりに

以上、3名の発言をまとめてきたが、やはり3名とも発言については社会の混乱を招きかねない。テレビは今も多くの視聴者がいる影響力が強いメディアである。そこでの発言には当然重みがある。テレビ局としては無難なことを言うよりも、強い主張をもった専門家の方が、数字がとれるなどのメリットはあると思われるが、まずは専門家として発言するにふさわしい人物をゲストに呼んでいただきたい。