2021年1月28日 日テレ「スッキリ」 特別レポート(※ケント代表理事コメント付き)

放送監視レポート

1月28日のスッキリの特別レポートです。

今回検証するのは以下の点です。

・さまざまな論点を提示した放送であったか

今回は当会代表理事のケント・ギルバートがコメントを寄せておりますので、ご覧ください。

それでは、放送内容を見ていきます。

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【放送内容】

加藤浩次氏(以下加藤氏):さらにワクチンに対してのシミュレーションが始まったんですけど、専門家を交えてお話をしていきたいと思います。

水卜麻美アナウンサー:今朝は日本感染症学会・指導医の水野泰孝医師に解説していただきます。よろしくお願いいたします。今回の訓練の流れから見ていきたいんですけど、ワクチンを接種する人は、受付をして予診票を記入します。さらに医師が体調やアレルギーなどを聞く予診というのが行われていくということです。厚生労働省は予診から接種までの目安として3分としているんですけど、今回、訓練してみたところ、予診だけで、気になることがない人は2分かかる。気になることを質問した人は3分かかるというケースがあったということが今回分かりました。

加藤氏:ある程度うまくいったということだね、春菜。

近藤春菜氏(以下近藤氏):まず医療関係者以外の方、ご高齢の方とか基礎疾患がある方から接種するということで質問が多い方もいらっしゃると思うんです。問診の時に。なので、それがわかって事前に相談窓口を作るとか、そういうふうにしましょうっていうふうにわかったのは、よかったと思います。

加藤氏:そこに関してはね。問診というのは人によって水野先生、違うと思うんですけど、ここに時間がかかってしまうということはありますか?

水野泰孝医師(以下水野氏):水のワクチン自体が新しいワクチンであるということと、医療者のほうも情報がまだ少ないというふうに印象を持っています。そういったところで、当然ながら打つ方もわからないことが多いですし、やるほうもどう答えていいのかわからないということもあるかもしれません。そういったことで予診の時間というのは、これまで打ってきたワクチンなんかよりもちょっと時間がかかるかなと予想できますので、担当者の方もおっしゃっていましたが、そこで詰まってしまうと、後がどんどん詰まってしまうので、質問を別に受けるとか、そういった対応が必要になるかなということはあると思います。

加藤氏:自分の基礎疾患とか体調とかは、自分のかかりつけ医がいる方は、病院で1回先に診ておいてもらうのが大事かもしれませんね。

水野氏:それも一つのアイデアだと思います。

加藤氏:そこを知っておかないとってことだもんね。続いていきましょう。

水卜アナ:予診があって、実際、接種があって、そのあとに経過観察ということで、アレルギー反応が出てしまう恐れがありますから15分から30分待機してもらうという場所があるんですけど、実際に訓練してみたところ、人の流れが滞って、ちょっと混み合ってしまうところがあったというところも課題の一つに挙げられていました。

加藤氏:どう改善するのか、ある程度、人が混み合ってしまうことを受け入れて、マスク、そして会話をしないということを徹底するのかどちらかだと思うんですけど、両方できればいいんですけど、水野先生、どうお考えですか?

水野氏:なかなか解決案というのは一つで出すのは難しいと思うんですけど、入り口のところで人数を制限する必要性もあるかもしれません。それから、あとはどうしても予防接種はどんなものもそうですけど、予期できない副反応が一定の割合であります。ここが一番時間をかけなくてはいけないところですので、どちらを優先するかですね。待つ時間を優先する。あるいは少し密になっても加藤さんがおっしゃったようにマスクをして、極力お話をしないようにということを、注意喚起を徹底して、それで若干人が集まってしまうのを、優先順位を下げるとか、そういったことでこれから検証されていくのではないかと思います。

加藤氏:自治体によって会場がすべて違うわけですから、場所が狭かったりする場合もありますから、自治体ごとという話になってくるかもしれませんね。

水卜アナ:もう一つ出てきた課題ですけど、ワクチンを接種した翌日などに痛みですとか、倦怠感といったものが生じた場合の対応について、訓練された川崎市の医師の方は相談センターなども必要ではという話がありました。

加藤氏:ここに関しては水野先生、いかがでしょう?

水野氏:これも可能であれば、そういった対応は取っていただいた方が接種された方にとってはありがたいのかなと思うんですが、ただ実際に予防接種の後の副反応に対しては我々も経験しますけど、結局やっぱり様子を見てくださいとか、あまりそれぞれ個別に、これが良いとか悪いとかっていう対応っていうのは、なかなか難しいところがあります。このあたりもどういった形が一番ベストなのか、これから議論されると思いますけど、一つの案としてはこういった窓口を作るというのは打たれた方にとっては、ありがたいのかなと考えます。

加藤氏:時間的にはもう、2月末と言っていますから、1か月切っている段階。自治体ごとに詰めなきゃいけないと思うんですけど、みちょぱはどうですか?ワクチン接種に関して。

池田美優氏(池田氏):うわさ程度なんですけど、若い人はまだこれから先、ワクチンを打った後にどうなるかわからないっていう。何年後かに何か出てくるかもしれないっていうのを聞いて、若い方はあんまりまだ打てるようになっても、打たないほうがいいんじゃないかっていうのをうわさ程度なんですけど聞いて、それは実際どうなのかなって。

加藤氏:水野先生、いかがなんでしょう?

水野氏:今回のmRNAワクチンというのは、これまでなかったワクチンです。 他の会社はウイルスベクターワクチン。これまでなかったワクチンですので、長期的な健康被害というのは全くわからないところがあります。このあたりが不安に思われる方も多いかなと思います。なかなかこのあたりを検証するというのは時間がかかるかなと。今の段階では何とも申し上げられないとなります。

加藤氏:わからないとなると、じゃあやめておこうかなという方が増えると思うんですけど水野先生、難しいさじ加減ですね。水野先生も言えない部分もあるし、エビデンスがないと言えない部分もありますよね。

水野氏:そうですね。こればかりはどうしようもないところがありますが、基本的にワクチンの考えは有害事象と予防効果と天秤にかけた上で、予防効果のほうがはるかに高い場合に推奨できるというふうに考えます。予防効果に関しても、有害事象に関してもまだまだ全然検証が足りていない、数が少ない段階でこれを積極的に進めるかというのは我々もそのへんが非常に難しいところです。海外でされたデータを徐々に検証しながら、積極的に干渉していいのかというのもなかなかこういう場面で言うの難しいですけど、徐々にデータが出てきた上で、その都度、情報を発信していくということになるかなと考えます。

加藤氏:さらにイスラエルのほうでデータが出てきてるんですよね。

水卜氏:世界最速のペースで接種が進んでいるんですけど、すでに2回の接種を国民のおよそ15%、132万人が終えていて、地元メディアによりますと、イスラエルの保健相が26日、ワクチンを2回接種したおよそ50万人のうち、その後、感染が確認されたのがおよそ0.014%。症状も比較的軽いことを明らかにしています。

加藤氏:0.014%、感染が確認されたということですから、このデータは信ぴょう性がありますか?水野先生。

水野氏:数値だけで考えると、かなり効果があったと思います。ただ背景が、母集団がどういう年齢層なのか。背景があまり明らかになっていないので、もう少し細かい情報がわかってくればと思います。

加藤氏:モーリーさん、先ほど水野先生がおっしゃったように、この新型コロナに対して、みんなが受けて、みんながワクチンを打った場合、ワクチンを打たない場合より、亡くなる方とか、重症化する方が減るという全体で考えたときのワクチンの効果があることがわかったんですけど、細かいことはわからない。どうお考えですか?

ジャーナリスト・モーリーロバートソン氏(以下ロバートソン氏):イスラエルから今後出てくる結果に注目したいと思います。この比率が維持されるのであれば、現時点ではワクチンを受けた方が圧倒的に有益だという統計的なことが期待できる。みちょぱさんがおっしゃったように、若い人の間でこれから長く生きる中で何年も経って新型ワクチンの副作用があったらどうしようっていう声もあるんだけど、今若い人が罹患したときにどれぐらい悲惨になるかという事例も比較して見ておく必要があります。これは、いろんなパーセントや確率、母集団という言葉が出てきますけど、統計的な考え方です。若い世代は柔軟なので、今から学習したらすぐわかる話です。教育に力を入れる場面かなと思いました。

加藤氏:ワクチンを打った方が亡くなる方が少なかったり、全体的に有益だということですね。

ロバートソン氏:免疫が広がっていくことによって、コロナが1億人、今感染者が超えていますけど、そのスピードが遅れてくれるということです。あと10万人に1.1人のアナフィラキシー。私もアナフィラキシーをイメージして、息ができなくなるのは怖いと思うんですけど、10万分の1というとそれより高い確率で交通事故に遭ったりするので、バランスよく、不安はあるけど希望がもてるというのかな、不安要素とのつき合い方、これを自分の肝にめいじなきゃいけないと思いました。

加藤氏:みちょぱはどうですか?

池田氏:ポジティブに考えようって思いました。先のことを不安がらずに、今のことを考えなきゃなって。

加藤氏:モーリーさんの今の解説、水野先生も同じ考えですか?

水野氏:私も賛同します。ただ、申し忘れましたけど、情報開示が非常に少ないという印象を持っています。国民の方もなおさらなんですけど、我々もあまり情報が下りてこないんです。ワクチン自体の情報もしかりなんですけど、海外のデータとか、そういったところを積極的に情報開示して、国民に理解を求めるような対応も必要なのかなと考えています。あとは我々医療者に対しても、こういった情報を積極的に開示してもらいたいと考えています。

坂口孝則経営コンサルタント(以下坂口氏):イスラエル、1回しか行ったことないんですが、イタリアとか日本って高齢化社会じゃないですか。これだけの高齢の方がいらっしゃるんで、ワクチンには全く無関係に、ワクチンを接種した後に倒れる方もいらっしゃると思うんです。どこまでワクチンのせいなのかっていうのがわからない状況なので、そこは積極的に教えていただきたいのと、もう一つ、報道で基礎疾患を持っていらっしゃる方に優先的に接種とあるんですが、どう調べても行政って個々人の基礎疾患を調べようがないと思うんです。どうやって優先的に接種させるのかなっていうのが非常に重要な気がするんですが。

加藤氏:自己申告なのかどうかってことですか?坂口さん。

坂口氏:そうそう。

加藤氏:水野先生、その辺はどうでしょう?

水野氏:このへんも全く情報がおりてきていないので、結局は基礎疾患とか持病をお持ちの方というのは、かかりつけ医でしかわからないところがあります。そうなってくると集団接種というのは向かないのかなと思いますし、そのへんの情報が少なくとも私のところには来ていないのが事実なので、どうにもしようがないなっていうのが正直なところです。

加藤氏:自己申告になるかどうかも説明されていない部分があるということなので、時間もないですからね。我々も協力してできるように、速やかにできるようになるというのが一番いいと思われますね。水野先生、ありがとうございました。

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【検証部分】

今回の放送では水野医師が新型コロナウイルスに関して情報が不足しており、わからないことが多いというコメントが多かったといえます。放送を総合的にみるとワクチンに対してやや懐疑的に放送がなされていました。

以下に水野医師のワクチンについての「分からない」というコメントをまとめました。

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水野医師「水のワクチン自体が新しいワクチンであるということと、医療者のほうも情報がまだ少ないというふうに印象を持っています。そういったところで、当然ながら打つ方もわからないことが多いですし、やるほうもどう答えていいのかわからないということもあるかもしれません。」

水野医師「今回のmRNAワクチンというのは、これまでなかったワクチンです。 他の会社はウイルスベクターワクチン。これまでなかったワクチンですので、長期的な健康被害というのは全くわからないところがあります。このあたりが不安に思われる方も多いかなと思います。なかなかこのあたりを検証するというのは時間がかかるかなと。今の段階では何とも申し上げられないとなります。」

水野医師「予防効果に関しても、有害事象に関してもまだまだ全然検証が足りていない、数が少ない段階でこれを積極的に進めるかというのは我々もそのへんが非常に難しいところです。海外でされたデータを徐々に検証しながら、積極的に干渉していいのかというのもなかなかこういう場面で言うのは難しいですけど、徐々にデータが出てきた上で、その都度、情報を発信していくということになるかなと考えます。」

水野医師「(イスラエルでのワクチンの効果について)数値だけで考えると、かなり効果があったと思います。ただ背景が、母集団がどういう年齢層なのか。背景があまり明らかになっていないので、もう少し細かい情報がわかってくればと思います。」

水野医師「情報開示が非常に少ないという印象を持っています。国民の方もなおさらなんですけど、我々もあまり情報が下りてこないんです。ワクチン自体の情報もしかりなんですけど、海外のデータとか、そういったところを積極的に情報開示して、国民に理解を求めるような対応も必要なのかなと考えています。あとは我々医療者に対しても、こういった情報を積極的に開示してもらいたいと考えています。」

水野医師「(基礎疾患を如何に把握するかということについて)このへんも全く情報がおりてきていないので、結局は基礎疾患とか持病をお持ちの方というのは、かかりつけ医でしかわからないところがあります。そうなってくると集団接種というのは向かないのかなと思いますし、そのへんの情報が少なくとも私のところには来ていないのが事実なので、どうにもしようがないなっていうのが正直なところです。」

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分からないことを分からないと言うのは大事なことではありますが、ワクチンは人々の信用や風評が大事となってくるといえます。専門家が「分からない」というだけでは人々は不安を覚えてしまう可能性があります。

また水野氏がワクチンに対してやや懐疑的だったため、こういった場合にはもう1人ワクチン接種に積極的な専門家をもう1人登場させるべきといえます。

なぜなら放送法では次のように定められているからです。

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放送法4条

(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること

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この日の放送はこの放送法に抵触している可能性があります。

また新型コロナウイルスのワクチンは効果があることは放送でも解説されていましたが、副作用についてもリスクは低いとする見解もあります。

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新型コロナウイルスワクチンの接種が2020年12月から始まった米国で、米製薬大手ファイザーが独ビオンテックと共同開発したワクチンについて、アナフィラキシー(命にかかわるおそれのある重いアレルギー反応)が起こるリスクは非常に低いことを米疾病対策センター(CDC)が21年1月6日に発表した。

このワクチンは2回接種が推奨されているが、1回目の接種を受けた人のデータによると、アナフィラキシー反応を示した人の割合は平均すると9万人に1人程度にとどまっていることがわかった。これは、食べ物をのどに詰まらせて死ぬリスクの3%未満だ。

季節性インフルエンザワクチンによる重いアレルギー反応は約76万9000人に1人の割合で発生しているので、ファイザー・ビオンテック製新型コロナワクチンのリスクはその約8.5倍ということになる。しかし専門家は、これはまだ小さな数字だと指摘する。先ほどの発表によると、米国では20年12月14~23日に189万人が1回目の接種を受けたが、その99.98%以上はアナフィラキシーを起こさなかったことになる。

《コロナワクチン、副作用リスク低い 米CDCが調査https://style.nikkei.com/article/DGXMZO68061590S1A110C2000000/》より

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「9.998%以上はアナフィラキシーを起こさなかったことになる。」とあるように副作用のリスクは低いといえそうです。

もちろんこれが絶対的に正しいということはまだ分からず、今後も各種調査・データ収集は必要ではありますが、こういったワクチンのリスクは低いという見解も放送で述べるべきだったのではないでしょうか。 新・視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

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